国際学部 多文化共生トークセッション [龍谷共と。]

2015年4月、龍谷大学は、国際文化学部を、国際都市・京都の深草キャンパスへ移転・改組し、新たに国際学部を設置します。これを記念し、多文化共生を実践するゲストを迎えて、国際文化学部教員(国際学部就任予定教員)とのトークセッションを開催。
グローバル化する社会の未来を切り拓きます。

国際学部 多文化共生トークセッション [龍谷共と。]

第3回テーマ 「ブランドとしての京都」と
「多文化共生コミュニティ」

国際都市である京都の中で、いかにして多文化共生社会を構築していくべきなのか。実際に多文化共生の課題に取り組む視点から、多文化共生の未来と在り方について語りました。

開催日時:2014年10月31日(金) 会場:龍谷大学 龍谷ミュージアム

ゲストプロフィール

渡部 真由美 氏

羽衣国際大学 准教授にしゃんた1969年7月18日、スリランカのキャンディー市(世界遺産)生まれ。高校生だった87年にボーイスカウトで初来日。その翌年に留学のため再来日をし、立命館大学に入学。新聞奨学生をし ながら大学在学中に全日本空手道連盟公認四段・全国空手道連盟公認指導員を取得したほか、多数の弁論大会に出場し優勝する。大学卒業後、龍谷大学大学院に進み、経済学の博士 号を取得。現在は京都に在住し、羽衣国際大学で教鞭をとる傍ら、テレビ・ラジオ出演、講演会や執筆活動などを行っている。2005年日本国籍取得。08年日本女性と結婚、一男一女の父。

龍谷大学国際学部登壇者
カルロス マリア レイナルース教授国際文化学部カルロス マリア
レイナルース
教授
(国際学部国際文化学科
就任予定)
松居竜五教授国際文化学部松居 竜五教授
(国際学部国際文化学科
就任予定)
北條英明氏国際文化学部 教務課長北條 英明

トークセッションダイジェストムービー

10月31日に開催された龍谷大学国際学部第3回多文化共生トークセッション『「ブランドとしての京都」と「多文化共生コミュニティ」』のダイジェストムービーです。

トークセッション まとめ記事

2015年4月開設龍谷大学国際学部
国際文化学科の特徴

松居教授

松居教授「多文化共生」をテーマに日本と世界のつながりを考える

龍谷大学は、2015年4月に瀬田キャンパス(滋賀県大津市)にある「国際文化学部」を深草キャンパス(京都市伏見区)に移し、新たにグローバルスタディーズ学科と国際文化学科から成る「国際学部」を開設予定です。2つの学科の大きな違いは英語というものをどう捉えるか。 グローバルスタディーズ学科は英語を本気で身に付けることにより、グローバルな社会で活躍できる能力を育成しようという学科です。英語の授業がかなりの割合を占め、留学は必修。卒業時にTOEIC730点取得が求められます。 それに対して国際文化学科では、英語を「世界の共通語の一種」として非常に重要なツールと捉えつつも、世界の言語や文化の多様性を併せて身に付け、「多文化共生」に貢献できる人材を育てたいと考えています。 是非、龍谷大学国際学部の2つの学科にご注目ください。

にしゃんた氏にご自身の経歴・活動について
お伺いしました

にしゃんた氏

にしゃんた氏スリランカの高校生が日本へ留学

私はスリランカで生まれ育ちました。高校生の時、日本で開催されたボーイスカウトの集いにスリランカ代表として参加。数週間の滞在でしたが日本はとても刺激的で、僕にとって忘れられない存在となりました。皆さん良くして下さいましたが、それはあくまでゲストとしての扱いであり、日本の一面にすぎない。これが日本の全てではないとの思いから自分の中で消化不良が起こった。もう一度行きたいと親に無理を言って高校の卒業を待たず日本へ留学しました。まず京都のYMCA日本語学校に通い、その後は立命館大学に進学。町の道場では空手を学び、四段と公認指導員※を取得しました。スリランカでは「日本は格闘技大国」というイメージがあり、単純に強くなりたいと始めたのですが、空手が僕に教えてくれた大切なこと。それは、空手の世界からは想像できないようなもの。生きる知恵や後輩を守る責任、そして謙虚さでした。
※全日本空手道連盟公認四段・全国空手道連盟公認指導員

故郷スリランカを学ぶために龍谷大学大学院へ

学は学部総代で卒業。就職活動は国際という冠がつくところを中心にまわりました。僕たちはそんな場で活躍するために育てられているという思いもありました。でも、当時は今と違って企業に外国人を雇う受け皿がなかった。
そこで大学院に行こうと決意したのですが、この時初めて自分が故郷スリランカのことを知らないということに気付いたのです。自分が最も強みにできるのはスリランカのはず。どこかに先生がいないかと探して、たどり付いたのが龍谷大学の中村尚司先生です。
龍谷大学と中村先生には8年間大学院生としてお世話になりました。本日の登壇者のお1人、北條課長には当時から良き兄貴としていろいろ相談に乗って頂いたものです。経済学の博士号を取り、山口県立大学の准教授に就職が決まった時には、中村先生が「この度私の不肖の弟子がお世話になります」と挨拶して下さいました。本当に嬉しかったですね。

京都で生活することの難しさについて

にしゃんた氏

にしゃんた氏観光地としては一流、地域住民にとっては最低。

京都には26年間住んでいます。1日も飽きたことはない。こんなおもしろいところはありません。でも先日、新聞の取材を受けた際に、あえて言わせて頂きました。
「留学生には京都は最高。でも子育てには最低。観光地としては一流でも、地域住民にとっては最低ちゃいまっか」。
京都は世界の人々の憧れ。私のような多くのよそ者が、京都が大好きで住まわせてもらっている。つまり周りが「いいところ」というイメージをつくっているわけです。そのせいで京都が本当にいいところなのかどうか、考えるのを怠っている人が多いのではないでしょうか。
京都をもっともっと良くするためにも、進化させるためにも、我々のようなよそから来た住人と先祖代々京都に住んでいる人が一緒になって「京都は大丈夫か」と多角的に考える時期に来ていると思います。

カルロス教授

カルロス教授努力している奈良、積極的に動いていない京都

私も京都住民の1人として「京都はいい街で何もする必要がない」と安心しすぎていたかもしれません。京都に比べて、奈良はいろいろ努力しています。私の学生の1人が卒論で「奈良の観光を良くするにはどうしたらいいか」をテーマにしているのですが、「他の例として京都を調べてみなさい」とアドバイスしたところ、京都は積極的に動いていないことがわかりました。にしゃんたさんのご指摘通り、危機感を感じないと私たちの龍谷大学のある京都は危ないかもという気がしています。

松居教授

松居教授京都は外からの力を受け入れてこそ繁栄が続く

京都のブランド力はかなりのもので、ある意味東京よりも高い。しかしそこに胡坐をかいている部分がある。生活者として京都が良いかどうかという点にも疑問があります。
一方で長い歴史の中で京都が発展してきたのは外から来る人たちの力を非常に上手く利用してきたという部分が大きい。そこに世界的にも珍しく千数百年間一定の繁栄を続けてきた都市の秘訣があると思います。これは現代にも言えることで、「京都は外からの力を受け入れないと生き残れない都市」と自覚する必要があるのではないでしょうか。

北條氏

北條氏これからの京都には口コミの力も必要

確かに京都は観光都市としてアメリカの旅行雑誌などから世界一に選ばれているのですが、それは何らかの努力の成果というより誘致をせずとも向こうから来てくれるから。最近、私のよく行くチェーン店の定食屋には外国の方が必ずいて、「これは店側が外国人向けのホームページを作って誘致しているのかな」と思っていたのですが、そんなものはなかった。じゃあ、なぜ?というといろんな外国人の方のブログで紹介していたからなんですね。日本のファーストフードはメニューが豊富で美味しいと口コミで評判になっている。
実際の企業努力ではなく口コミでこれだけ人が呼べているということは、これからの京都にも口コミの力がたくさん必要になるのではと感じています。

日本の生活の中で、
日本文化を継承していく役割について

にしゃんた氏 カルロス教授 松居教授 北條氏

にしゃんた氏"伝統文化を外国人が受け継ぐ"は十分あり得る話

確かに京都は観光都市としてアメリカの旅行雑誌などから世界一に選ばれているのですが、それは何らかの努力の成果というより誘致をせずとも向こうから来てくれるから。最近、私のよく行くチェーン店の定食屋には外国の方が必ずいて、「これは店側が外国人向けのホームページを作って誘致しているのかな」と思っていたのですが、そんなものはなかった。じゃあ、なぜ?というといろんな外国人の方のブログで紹介していたからなんですね。日本のファーストフードはメニューが豊富で美味しいと口コミで評判になっている。
実際の企業努力ではなく口コミでこれだけ人が呼べているということは、これからの京都にも口コミの力がたくさん必要になるのではと感じています。

カルロス教授 北條氏

カルロス教授明るく振る舞うフィリピンの文化から学ぶことも。

相撲に外国人がたくさん入っているように、すでにスポーツ分野では外国人が継承する役割を果たしていますね。
私自身は積極的にそういうことはできないと思いますが、日本文化の継承について考えるとき、精神の面で私たちの国から見習えることもあるのではとも思っています。日本人は少し暗いような気がします。私の国フィリピンでは、たくさん災害があっても皆ニコニコして笑いながら頑張る。明るく振る舞うのがフィリピンの文化。
あと、女性に役割についても、先日発表された世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数ではフィリピンは9位で日本は104位。伝統的な日本文化では女性は男性の後ろに立っています。これからは表に立ち、能力があれば男性の前を進んでいくのも必要かもしれないし、そういう面でもフィリピンから学ぶことがあるかもしれません。

にしゃんた氏 松居教授

松居教授伝統文化の厳しいルールの下では日本人も外国人
も同じ

確かに伝統文化を外国人の方が継承するという例がだいぶ増えてきていますが、伝統文化が厳しい世界だからこそチャレンジするという部分がある。厳しさというのは受け継がれてきた一種のルール。このルールを守っている限り、外国人であろうと日本人であろうと同じであり、そういうところが世界の人が入ってくることにつながっているのだろうと思います。
日本人、特に若い人は、外に出て自分たちの文化が何を持っているのかを再認識し、厳しい目で戻ってこないと、もともと厳しい環境・ハードルをくぐりぬけてきている外国人の方と伝統芸能の継承の場を争っても負けますよ。負けて当然だと日本の若い人に言いたいと思います。

北條氏

北條氏留学が次世代の日本文化への理解につながる

外国人が日本文化をすごく好きなのは、おそらく自分が本来持っていないものへの憧れがあるのだと思います。ですから、日本文化が好きな外国人が日本文化の伝承に関わっていくのはむしろ自然な流れ。一方、日本の若者が近くにそういうものがありながら気づいていないという現実を考えると、一度外に出ることで客観視できるのではと感じます。本学部の学生が長期留学から帰って来ると必ず言うのが「日本を離れて3つのことがわかった。1.自分自身の本当のこと。意外に強かったり弱かったりする自分。2.日本の良さ。安全面や食事、文化。結局自分は日本人で日本は素晴らしい。3.親のありがたみ」。いくら我々が日本の良さを語ったところでわからない。そういうことを知るきっかけとして、留学は次世代の日本文化への理解へつながっていくのではと思います。

今後の多文化共生コミュニティに期待すること

松居教授

松居教授

若い頃、初めてヨーロッパへ行った時、風が違うと感じました。あたってくる風が全然違う。風はボーダーがなくて何処にでも吹いてくるけれども、その土地その土地で全然違う。それは体感してみないとわかりません。今はどこにいても外とのつながりがあって外から風が常に吹いています。そのいろんな風を感じながら生きていくのが多文化共生コミュニティ。
ニュースで見たのですが、若い人に「また日本人に生まれたいですか」と聞くと、「生まれたい」という回答が八割くらいあったそうです。それはとてもいいことですが、若い時に考えているほど“今自分が持っているもの”はそんなに守る必要がないものです。外に出て風を感じる楽しさを知り、生きている感覚というのを自分で見つけるようにしてほしいと思います。

カルロス教授

カルロス教授Challenge
挑戦

私たち外国人が京都で生きるのは楽しいこともありますが、実はしんどいことでもあります。なぜしんどいのか考えると、1つは多文化共生で生きることは自分を知るということであり、自分を相対化して、自分を見つめながら多文化と共生しないといけない。つまり自分への挑戦です。
もうひとつ、京都にしても日本全体にしても多文化共生を考えていくのは私たち外国人だけでは難しいことです。受け入れ国である日本の皆さまからご協力頂かないとなかなか実現できません。多文化共生を考えることは京都から社会全体へのチャレンジになるのではないでしょうか。

北條氏

北條氏インフラ整備より人的サポート

個人的には京都は外国人にとって不便でもいいと思っています。外国人のためにいろんな看板を用意したり英語表記したりするよりは、人がサポートする方が笑顔も増えるし、人のつながりも増える。
新しい国際学部には2つの役割があり、グローバルスタディーズ学科はグローバルな事象に対応できる人材の育成、一方で国際文化学科は国際化を扱っています。国際化を学ぶためには、国や地域によって人は違うのだという視点に立ち、異文化というものを理解する必要がある。京都は国際都市であり、グローバル都市になる必要はありません。京都の変わらない良さを人的サポートでおもてなしすれば京都の魅力が増すでしょうし、何と言っても京都は学生の街。学生がその役割を果たせるように我々も教育していきたいですし、そういう街であってほしいと願っています。

にしゃんた氏

にしゃんた氏共笑
TOMOE

皆さんは違いと聞いて何を連想されますか?いいことを連想するか、悪い事を連想するか。ほとんどの方は悪いことを連想すると答えます。つまり条件反射的に違うと聞いたとたん嫌いとか怖いとか反応を示すわけです。多文化共生コミュニティを作っていく際は、違うというものにどう反応するかが最も大事です。
実は我々には違いしかありません。男性と女性、年齢、地域、自然環境、それぞれの顔。違いしかない中で生かされている我々が、違いとの関わりを嫌いや怖いで敬遠する。これは正しい付き合い方とは思えません。まずは違いしかないということに気付き、違いを自分の中に貪欲に取り込み、その都度新しい自分に生まれ変わっていく。それが違いとの正しい付き合い方ではないでしょうか。違いを貪欲に採り入れる数が多ければ多いほど私たちは強く優しく美しくしなやかに豊かになっていきます。そして、違いの中でただ共に生きるだけではなく、共に笑うのが最も大事な部分。一緒に共笑な世の中を作っていきましょう。

トークセッション Q&A <当日回答>

京都に対する来日前のイメージと実際訪問してからのイメージは 違いましたか?特に来日前、京都に対する情報はどんな内容だったのでしょうか。

私は日本に関する情報もままならないところで育ちました。本は一冊くらい、テレビは日本のODAが寄付してくれたテレビ局が1つだけ。ドラマ「おしん」や折り紙教室が流れていて、それくらいしか日本の情報はありませんでした。日本の中古車が入ってきた時は、「おしん」には車なんてないのに、どうして車が日本から来るのか不思議に思ったものです。この程度の情報しかないまま来日したのですが、今はインターネットも発達していますし、私の頃とは全く違うと思います。周りの方は京都と言うと反応がいいですね。「あなたは京都に住めていいね」と言われて初めて「ああ京都っていいところなんだ」と気付きました。【にしゃんた氏 回答】

私が生まれる前から日本人留学生を家族として受け入れた経験のある家で私は育ちました。夜は日本人の先生とかが来て歴史とかいろいろ教えてくれたので、日本人はすごく真面目という印象があったんです。学生として日本に来てからも同じ印象を持ちました。【カルロス・マリア・レイナルース教授 回答】

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