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龍谷大「海外交流委員会」 寝食共に交流深める /滋賀

◇タイ短期留学生をサポート

 タイからの留学生へのサポートを通じて交流を深めようという活動に、龍谷大の学生たちが取り組んでいる。国際文化学部の学生を中心とした「海外交流委員会」のメンバーたちで、タイ人の短期留学生たちと寮で寝食を共にしながら、互いに語学力を身につけ、文化の違いも学ぶのが狙い。留学生たちが帰国後も文通の仲介をするなど、継続的な活動もしている。メンバーたちに取り組みや思いを聞いた。【北川功】

 タイ・バンコクにあるアサンプション大学は、ほとんどの講義を英語で行う名門私立大学。龍谷大文学部の卒業生が日本語教師を務めているのが縁で、昨年4月、ビジネス日本語学科の学生31人が短期受け入れプログラムで来日し、瀬田学舎(大津市瀬田大江町)で1カ月間学んだ。

 留学生たちをサポートしたのが、同委員会の学生16人。日本人チューターとして授業に合流し、ディスカッションのパートナーを務めたり、俳句を作るなど、日本語学習に参加した。期間中は瀬田学舎近くにある留学生寮で生活をともにし、一緒に食事を作ったり、回転寿司などの外食店を案内するなど、授業以外でも交流を深めた。

 1カ月という短い期間だったが、お互いが目に見えない影響を与え合ったようだ。参加した国際文化学部の西村和高さん(3年)は「留学生はタイ語や英語を使うと聞いて、会うまでは不安があった」というが「会ってみるとみんな人なつっこく、共同生活で毎日わいわいと過ごすなかで、仲よくなることができた」と話す。同学部の十川友哉さん(3年)は「今回、留学生と初めてかかわったが、考え方や価値観の違う人と交流することがこんなに楽しいことなのかと思った」と振り返る。

 勉強に熱心な留学生の姿勢に感心した学生も多かった。文学部の柳楽愛さん(3年)は「私たちが使っている関西弁にもすぐ興味を持ってくれて、教えると楽しみながらどんどん覚えていく」。次々に生きた言葉を吸収していく留学生たちの姿に「これが本当の国際交流なんだ」と思ったという。タイではJポップや日本のテレビドラマなども人気があるといい、共通の話題で盛り上がる体験も新鮮だった。

 同委員会では昨年7月、アサンプション大の学生との文通をとりもつ活動を始めた。タイ人学生に生きた日本語を教える手助けをするのが目的だが「せっかくの交流を、自分たちだけで終わらせるのはもったいない」という思いも大きい。文通を希望するタイ人学生から自己紹介メッセージを預かり、呼びかけに応じた日本人学生が相手を決めて手紙のやりとりを始める。現在、タイ人の文通希望者19人に対し日本人学生は11人で、参加者の輪が広がりつつある。

 学生たちの活動をサポートしている国際文化学部教務課の北條英明さんは「日本人が海外へ出て行くのは英語圏が中心だが、実際に日本に興味を持ってくれるのはアジアの方が多い。留学生の受け入れは、日本人学生にタイのことを知ってもらういいチャンス。ふれあうことで、自分の国を知るきっかけにもなる」と意義を説明する。今年も4月にタイ人学生の受け入れを予定しているが、西村さんは「もっと多くの学生に参加してほしい。そのために、受け入れる施設や態勢づくりも必要。今後、大学に働きかけていきたい」と話している。

毎日新聞 2005.3.4朝刊・滋賀版
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