カナダ
ヨーク大学2004年度後期S.Aさん(男)
- 期間
- 2004/9/3-2005/6/30
- 所用経費(1ヶ月)
-
宿泊費・食費 60,000円 交通費 10,000円 衣服費 5,000円 教養娯楽費 10,000円 雑費 2,500円 合計 89,500円 - 渡航・帰国費用
- 200,000円
- 授業料
- 1,000,000円
(半年) - 換算率
- カナダドル=84円
住宅について
ホームステイを選択すると、食事などの面では心配することがないのだが、ファミリーによっては自分の性格に合わない人がホストになる可能性があり、僕の友達も何人かがその理由で寮やアパートに引っ越している。ホームステイとうまくやることができれば自分の英語の能力を向上させる絶好の機会だと思うし。その国の文化を知る一番の近道だと思う。
医療について
医療については日本と同じくらいの高い水準にあると思う。コースの始まる前にはいつも保険に入っているかどうか厳しいチェックが行われていたし、医療所ドラッグストアも家・大学の周辺など、簡単にアクセスできる距離にあり、設備も充実しており、薬の種類も豊富にあった。
治安・衛生について
治安のほうは日本に比べれば少し危険かもしれないが、比較的安全といえるとおもう。もしもの時は大学のサービスの一貫としてEmergency Callという電話番号の一覧がコースの初日に配られるので、そこに電話したらスタッフが無料で自宅まで車で送ってくれます。
受講科目
York University English Language Institute Academic Program
期間
2004/9/8-2005/6/28
授業内容・到達度
Academic Core Classレベル1〜6までクラス分けされており、コースの初日にテストを行い、能力に応じて生徒は適当なクラスに振り分けられます。生徒の数は14から16人程度です。私の場合は初日にレベル3のクラスに振り分けられ、それからレベルを上げていき、5Aを受かった時点で帰国してきました。
レベルの低いクラスでは基礎的な文法や会話に焦点が当てられているのですが、レベルが上がっていくにつれて、高いライティングの技術を要求されるようになります。レベル4から6までの生徒はコース後半で自分の興味を持っているトピックを定め、その資料や情報を図書館から集めてきて、自分なりにまとめるFinal Reseach Essay という課題があります。これが最も重要な課題で、このためにに多くの時間が割かれました。そして、この課題のおかげでライティングの技術は向上したと思います。北米ではエッセイの書き方は本当に重要で、細かいことまで沢山のルールを学びました。ライティングだけでなく、スピーキング技術の向上もこの課題から見込めます。
コースの最後に、このエッセイに基づいてプレゼンテーションをクラスの皆の前でしなければいけません。このような経験は日本の小、中、高、大学のいずれでもしたことがなかったので、最初のほうは当然緊張してしまって、うまくいきませんでした。クラスメート全員が自分の英語を聞いていると思うと頭の中が真っ白になりました。でも失敗を繰り返す、数をこなすことによって徐々に度胸がついていき、最後には緊張感もどこかに消えていました。
どうすれば自分の言いたいことを皆に効率よく伝えられるか、どのようにプレゼンテーションを構成しようか考えているうちに知らず知らずに自分のレベルは上がっていました。最初と最後の自分のレベルを比べてみると、差は明らかで、これが最も自分の英語の到達度を感じる点だと思います。
York University English Language Institute Academic Program
期間
2004/9/14-2005/6/28
授業内容・到達度
Seminar Classは毎週火曜日と木曜日のAcademic Core Classの後にあるのですが、コースの成績や合否には直接関係せず、ただ英語に楽しく触れるといった事が目的で作られたクラスです。コースの最初の方の授業でセミナークラスの選択があるのですが、あらかじめ7つのトピックが用意されており、そこから自分達の興味のあるトピックを各クラス2人ずつ登録することができます。そのため、Seminar Classでは他のレベルの生徒と一緒に勉強することになります。私はこの10ヶ月で5つのSeminar Classに参加したのですが、どれも興味深いものばかりでした。
私が一番初めのコースで選択したのは、「Sports」です。このクラスでは、スポーツに関する用語や知識など英語でどういえばいいのかなどを学んだのですが、最も興味深かったのはカナダの国民的スポーツである、アイスホッケーとラクロスについて勉強した時です。エアカナダセンターというカナダで最も設備が整っているスポーツセンターがあるのですが、ここにクラスの皆と見学しに行った時に、実際にホッケーのリンクを見たのですが、想像以上に迫力がありました。
2つ目のコースで私が選択したのが、「Candadian Culture」です。このクラスでは先住民族の時代からカナダの歴史、気候、文化について触れていきました。コースの最後の授業では自分の好きなカナダと歌手についてプレゼンテーションがあり、皆楽しく取り組んでいました。
3つ目のコースで私が選択したのが「Peace and Conflict」です。このクラスを通じて、紛争や戦争がどこまで行われており、何が原因でどのように発展していったのかなどをビデオ鑑賞や資料から学んでいきました。自国の戦争と紛争の歴史についプレゼンテーションする機会はあったのですが、私は韓国の生徒と一緒に1910年の韓国併合について取り組みました。当時は敵対関係にあった日本と韓国ですが、こういった機会に自分達の国がどのような事をしたのかを真剣に考え、話し合うと言う事は本当に大切なことであり、将来よりよい関係を築いていく重要な要素だということに気づきました。
4つ目のコースで私が選択したのが、「Directed Dialogue」です。このクラスではとにかく喋ることに重点が置かれており、毎回ディスカッションやグループワークが行われていました。内容は日常生活における英語の独特の表現やイディオムなどを覚えるといったようなことです。
5つ目のコースで私が選択したのは、「Business Writing」です。このクラスでは私たちがビジネスマンとなり。4つのグループを形成しそれぞれを会社の部門とし、お互いにメモやビジネスレターの交換などを行いました。このクラスを通して基本的なビジネスレターやメモ、レジュメの書き方を学ぶのと同時に、どのようなやり取りがビジネスの世界では行われているのかを学ぶことができました。このように私は5つのSeminar Classを体験したのですが、どれも興味深く英語の力を上げてくれる重要な機会だったと思います。
留学を終えての感想
渡航前にしておいたほうがいいこと
渡航前はいろいろと忙しいかもしれないけど、やはり英語の勉強は毎日少しでもしておかなければならないと思う。特にバスに乗るときや初めて会った人と会話する時に使うような基本的な表現は暗記していったほうが良い。なぜなら現地に到着して全くコミュニケーションがとれなかったら自信をすぐに無くすと同時に、身動きが全く取れなくなってしまうから。何もやらずに行くよりも、断然いいと思う。
渡航時に持っていったほうがいいもの・持っていかなくてよいもの
長期的にみればパソコンは持っていたほうがよいと思う。私の学校ではレポートの提出が頻繁にあったので、パソコンは必要不可欠でした。学校でもパソコンを使用する事ができるのですが、土日などに学校に行くよりか、家で作業するほうが時間も省けて効率がいいと思う。短期の場合は荷物になるだけで、持っていくべきではないと思う。あと思い出作りにデジタルカメラは絶対に持っていった方がいいと思う。
留学先でのお金の払い方等
私の場合、現地に到着後、銀行に口座を作りに行った後、口座番号を親に教えて日本から電子送金してもらいました。クレジットカードは日本に比べてカナダの方が頻繁に使用されている印象がありましたが、私は授業料など高い金額を払う時だけ利用するようにしていました。
留学先での気候
私がトロントに到着した9月頃は晴天の日が多く、湿度もあまりなく、カラッとした日が続いていました。11月半ばあたりから冷え込みだし、平均的に見るとー10からー15度くらいが真冬の気温だったと思います。ただ、時折−30度くらいまで下がることがあるのですが、息をするのが苦しく顔が真っ赤になりました。かばんの中に入っているペットボトルの水が凍ってしまうくらいの寒さです。積雪量はそれほど多いというわけでもなく、日本の北海道くらいだと思います。4月から6月にかけては天気が変わりやすく、ジメジメしており湿度が高いように感じました。
大学について
私の通っていたヨーク大学はカナダで一番有名な大学の1つだけあって生徒の数がキャンパス内を歩いていても多く感じました。トロント大学と違ってヨーク大学はダウンタウンに位置しておらず、敷地面積が広大でした。大学へのアクセスも不便ではなかった。大学周辺の治安は悪くはなく、もしも夜中に一人で歩くのが嫌なら大学の係員が車で送ってくれるというサービス(24時間)があったので心配なかった。
食生活について
食生活は私が留学に行く前に最も心配していた事の1つですが、実際行ってみた後は大して問題ありませんでした。ただ、食事の時飲み物はいつも“パンチ”というフルーツジュースか炭酸でした。最初はそれが嫌で毎日水を飲んでいたのですが、時間がたつにつれジュースを食事中に飲むことに慣れていきました。
食べ物の方は本当においしかったです。ホームステイファーザーとマザーがそれぞれポルトガルとイタリアからの移民だったので、ヨーロッパ系の料理、例えば鳥料理、スパゲッティ、ラザニア、ピザなどが多かったです。日本人もこういった料理を良く食べるので全く問題なかったのと、マザーが料理好きで子供も3人いたことから、味や健康に考慮した食事を毎日食べることができました。ファミリーが朝の7時半に仕事と学校に行かなくてはならないので、朝食と昼食は自分でホットケーキやサンドイッチなどを作って食べていました。
旅行について
私は留学中に一度も旅行に行かなかったのですが、ケベック、オタワなどへはトロントから日本円で1万2000円くらいでいけると聞きました。(バス代・宿泊代込み)
留学して一番よかったと思えること・つらかったこと
留学して一番良かったと思えることは、世界各国に友達が沢山出来たことです。文化や言語は日本と全く違っていても、英語を通して自分達が何を考えており、何を伝えたいのかという事を理解できるのは本当に素晴らしいことだと思いました。私はこの留学に来るまで、一度も海外に出たことがなかったので外国の生徒と喋るのが怖かったです。
まして自分の英語力に自信がなかったので、本当の友達を作っていけるかどうか心配でした。でも、皆状況は同じで、授業を通して励ましあい、助け合っていくうちにお互いを理解できるようになっていき、最後には固い絆を築き上げることが出来たと思っています。韓国や中国とは歴史的背景から政府間で日本と色々問題があります。このようなことから最初は少し偏見を私も持っていたのですが、この留学を通してその考えは180度変わりました。
皆、ちゃんと事情を理解しているのですが、そういったことは隅におき、私たち生徒の間では本当にちっぽけなことのようにしか感じませんでした。このような体験は留学に来なかったらまず出来なかっただろうし、将来国際関係を良くしていく重要なようその1つであると思います。彼らとは離れ離れになってしまいましたが、これからもコンタクトを取りつづけ、いつかまたどこかで再会したいです。留学してつらかった事は単純に英語でコミュニケーションがうまく取れなかった時です。でも正直言うと、あまりつらいと感じたことはありませんでした。
留学前と留学中の考え方やイメージのギャップ
留学を通して感じた一番大きなギャップは色々な人種の生徒が世界各国から集まってきているということです。日本人の私からすると、多少は外国から来た生徒を大学のキャンパス内でみかけるくらいのイメージしか持っていませんでした。留学に行く前からトロントはいろんな人種が共存していると聞いていましたが、私の想像をはるかに越えていました。カナダ人はもちろん、アフリカ系、ヨーロッパ系、イスラム系の生徒など日本では絶対見ることのできない光景に最初は戸惑いました。あとアジア系の生徒が多いことは少し意外でした。
留学を終えた今、自分が感じること
留学をしたことによって本当に貴重な体験を沢山することが出来たと思います。
当初の目的はただ英語の上達だけを考えてカナダに行ったのですが、それと同じくらい重要なものを、全く環境の異なる場所で生活することによってたくさん学ぶことができました。物事を1つの方面だけから見るのではなく、いろんな角度から見ていこうとする姿勢をとることを心がけるようになりました。これは考え方、文化の違う世界中から来た生徒と一緒に勉強、生活することによって気づかされたことです。英語力も留学を通して上げることが出来ましたが、私としてはむしろそういった事の法が留学をして良かったと感じる点です。