中華人民共和国

大連外国語学院2008年度前期S.Rさん(女)

期間
2007/8/28-2008/7/24
所用経費(1ヶ月)
宿泊費 1500元
食費 800〜1000元
図書・学用品 100元
衣服費 100〜700元
雑費 300元
合計 2800〜3600元
渡航・帰国費用
90,000円
授業料
(年間)16000元

住宅について

私の通っていた大連外国語大学の寮費は比較的高めであった。

ひとり部屋(エアコンあり) 100元/1日
ひとり部屋(エアコンなし) 80元/1日
二人部屋 32元/1日

私は一人部屋(エアコンなし)に住んでいたので月に要する費用は約2400元。大連では2000元以上払えば、かなり広くてきれいな部屋に住む事ができる。(中国のアパートは全て家具・電化製品等が備え付けられている。ないものも交渉によっては大家さんが用意してくれる。) 寮はキレイとは言えないし、何よりもセキュリティー面に欠けており、盗難が頻繁に起こるため、後期から部屋を借り移り住んだ。中国では安い費用で日本ではありえないくらい広い部屋に住むことができるため、これから留学を考える人は是非外に住む事をおすすめしたい。

医療について

大連は日本人が多い街なので日本語が通じる病院は少なくないし、医療サポートの会社も何件か聞いたことがある。だが技術面は保証できない。私は風邪をひいたときに1度中国の病院にお世話になったが、看護婦さんに点滴の注射針を垂直に刺され、点滴中の3時間激痛で一睡もできなかった思い出がある。

治安・衛生について

大連の治安はかなりいい。外国なのでスリはもちろんいるし、春節前は金目当てに外国人が刺されるという事件もたまにあるが、自分が気をつけてさえいれば被害にあう可能性は極めて低い。街はきれいなほうだと思う。路上では清掃員が常に清掃を行っているため、中国のなかでは清潔な街だ。

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受講科目

基礎(後期精読)
期間

2007/9/3-2008/7/4

授業内容・到達度

おもに文法を学ぶ授業。1課を2・3回に分けて学ぶ。本文、単語の解説→文法の解説→問題といった形で進んでいく。前期は自分の能力が追いついていないために、後期は授業のスピードが速かったために、ついていくのにかなり苦労した。前半は塾に通い、後半は自力で追いつくことのできない知識をカバーした。

口語
期間

2007/9/3-2008/7/4

授業内容・到達度

話すことを目的としているため、クラスメートとの会話の時間、自分の意見の発表の機会が必ずある。前期は日常会話を中心に、後期はそれを少し発展させた生活会話を中心に勉強する。日本人は口語が苦手だ。自分ももちろん例外ではない。この克服法はとにかくしゃべる事。これに限る。私は中国人の友達をたくさん作り、できる限り一緒に過ごすことでこの苦手意識が少し和らいだ。

聴力
期間

2007/9/3-2008/7/4

授業内容・到達度

問題のテープを流し、それを聞いて私たち生徒は回答するといったシンプルな形の授業形式。日本人は口語に次ぎ聞き取りも苦手の分野に入る。聴力の授業はもし聞き取れない部分があれば先生は繰り返し流してくれる。私もはじめは全く聞き取る事ができなかったが、CDを購入し授業のあとも繰り返し聞いていると、少しずつではあるが聞き取りにも進歩がでてきた。

閲読
期間

2007/9/3-2008/7/04

授業内容・到達度

長文読解の授業。文章全体の正確な理解と、知らない単語があっても、漢字の部首や、前後の関連単語から意味を判断する訓練等を行う。開始当時は知らない単語も多く難しく感じたが、この授業でよく辞書を引き単語を覚える努力をしたので、単語量が増え、後期になってだんだんと進歩が見られるようになった。今は、中国の新聞もある程度意味を理解する事ができるようになった。

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留学を終えての感想

私は龍谷大学で約1年半中国語を学んだ後中国に留学した。今は日本の大学での勉強も無駄ではなかったと思えるが、開始当初は役立つ機会はごくまれであった。なぜなら日本での中国語の授業は全て日本語を用いて行っている。そのため、知っている単語量と文法量は増えていたが、リスニングと口語は全くといっていいほどできなかった。読むことはできるが、しゃべる事・聞くことは全くできない。それが私の中国に行く前のレベルであり、留学前半の私の最大の課題であった。

開始時のクラスは迷ったが自分は1年半勉強して中国に来た、自分は日本人だし知っている漢字も多い。1ヶ月もすればきっとしゃべれるようになるだろう。そんな過信もあり、自分のレベルより上のクラスを選んだ。日本人は漢字に面識があるので簡単に中国語ができるようになると思いがちだ。だが、実際のところ日本人は表現する事がとても苦手なため、たとえ書く事ができても話す事は停滞しがちである。

前期の授業が始まってしばらくして西洋人・韓国人など他の国から来ている生徒達の豊かな表現力を間の当たりにし、自分の問題点に気付き始めとても悩んだ。更に、自分のレベルよりも上のクラスにいるため文法や単語の面で追いつくことにも必死で、本当に苦しかった。この苦しい状況をどうにか抜け出したくて、中国人の友達を作り私が日本語を教え、中国人の友達が私に中国語を教えるという相互学習を始めた。そして、単語・文法面で追いつく為に塾にも行き始めた。

中国人の友達ができてから、中国語を学ぶことがだんだんと楽しくなってきた。学んだ言葉をすぐ実践で使う事ができる。これが留学の最大のメリットであると私は思う。当時、相互学習をしていた友達は私の留学先の大学で日本語を専攻しているので日本語がとても上手だった。もちろん会話も日本語を使う割合が多く、私はそれがとても悔しかった。いつか中国語だけを使って会話がしたい。そう思うようになり、中国語の勉強にも身が入るようになった。

目的ができ、勉強も少しずつ追いついていき少し余裕が出てきて旅行にも出かけるようになった。北京・上海・瀋陽・西安・内モンゴル・蘇洲・杭州・南京など今まで様々な土地へ行った。旅先でいつも実感するのは中国の広大さである。行くところ行くところ必ず風景は違っているし人々の気質、文化、方言、気候も全く違う。同じ中国なのにまるで外国のようなそんな錯覚を起こすほどである。

旅行先の土地で自分が今まで勉強をしてきた中国語が通じた時、とても喜びを感じる。更に全く見ず知らずの人との会話の中でたくさんの情報を得る事ができたときは自分の中国語の上達を実感する事ができた。学校で勉強しているときは、その上達を実感する事はなかなか難しい。学校の先生は私たち外国人のおかしな発音にも慣れているので多少おかしな発音でも通じてしまうからだ。だが、学校の外ではそういうわけにはいかない。中国語は四声という発音があるし、それが少しでも標準から外れると全く違った意味に捉えられてしまう。旅行は自分の発音の問題を実感する大きなきっかけであると私は思う。

中国に行き、中国以外にも様々な国の人と接する機会があった。私が感じたのはどの国の人間も自分の国に誇りを持っているということ、自分の国が1番だと思っていることだ。私はその考え方が素晴らしいと思う。そして、留学を終えて私にもその考え方が芽生えた。留学に来る以前、私は日本の国の欠点しか見えていなかった。中国に行って、日本を客観視した時初めて日本が持つ良いところを冷静に見つめることができたような気がする。留学を経験して私の考え方はかなり変化したと思う。この経験を今後どう活かしていくか今は未定だが、私は中国に残ってもう1年語学・文化を学ぶことに決めた。私にとって1年という期間はとても短いものであり、私の目標とするレベルに到達できなかったからだ。

そしてもうひとつの理由として、純粋に中国をもっと知りたいという気持ちがあるからだ。オリンピックを目前にして今メディアは中国に関して過剰に批判を行っている。私は最もだと思う気持ちが半分、だが反論したい気持ちも半分ある。たかだか1年中国で過ごしたからといって中国を語るにはまだ役不足である。あと1年の留学期間を通して、中国をより深く理解し帰国後は人々に本当の中国を伝えていきたいと思っている。

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