中華人民共和国
上海外国語大学2008年度前期A.Yさん(女)
- 期間
- 2008/2/20-2008/8/26
- 所用経費(1ヶ月)
-
宿泊費 50,000円 食費 30,000円 交通費 4,000円 図書・学用品 1,000円 衣服費 8,000円 教養娯楽費 5,000円 雑費 5,000円 合計 103,000円 - 渡航・帰国費用
- (往復)200,000円
- 授業料
- (半期)126,000
+72,000円(サマーセミナー) - 換算率
- 1元=15円
住宅について
私が留学していた上海外国語大学の留学生寮は、設備もとても整っていてすごく住みやすかった。毎週掃除係のおばさんが掃除に来てくれる。その時、物を壊されたりしてトラブルになったこともあったので、掃除の日は大事な物はしまっておいた方がよいと思う。わたしは1人部屋だったが、少し高いので、少し離れた所にあるもう一つの安い寮でもよかった。でも、留学生寮なのでやはり、友達はたくさん増えて良かった。夏期セミナーの間は、寮の外で住み始める友達のマンションに一緒に住ませてもらっていたが、部屋を借りる段階でかなり苦労したので(言葉が通じなかったり、お金を多く取られたり・・)、寮に住むのが一番安全で学校も近いので良いと思う。
医療について
この留学期間中に病院にかかったことがないのであまりわからないが、近くの上海第一人民病院の国際医療センターには日本語が話せる看護師さんがいた。友達の話では普通だったというし、日本とさほど変わりはないと思う。
治安・衛生について
私の住んでいた地区の治安は、決して良くはなかった。スリの被害にあったり、パスポートや携帯電話を盗まれるなどをよく耳にした。出かける時はお金をできるだけ持たずに、日本のカード類も全て抜くようにし、携帯電話はポケットに入れずカバンの中に入れていた。衛生面は、特に気遣うことはなく、水も寮できれいな水(部屋にウォータータンクが付いている)が安く買えたので心配なかった。あと、友達が学校近くの屋台で魚を食べて、じんましんが出たりということがあったので、魚介類や屋台の肉類には気をつけていた。スーパーマーケット・コンビニでは、よく賞味期限の切れたものがあったので購入の際には十分気をつけていた。
受講科目
中国語 精読 (初級一)
期間
2008/3/3-2008/6/25
授業内容・到達度
毎日あって、私のクラスは四声や漢字の書き方などの基本から始まった。語法中心の授業。先生は普通語と呼ばれる標準語と英語で授業をしてくれて、とても聞き取りやすかったし、英語の勉強にもなった。最終的には、最低限の日常会話ができるレベルまで到達する。同じ初級一クラスでも、クラス内のレベルは様々で、先生はその人のレベルに合った問題をあてていた。テストは比較的簡単で、きちんと勉強していれば満点をとれると思う。同じレベルのクラスでも、クラスによって教えてくれることが違っているように思えた。私のクラスは、単語も使い方や細かいところまで教えてくれたのですごくよかった。
中国語 听力 (初級一)
期間
2008/3/3-2008/6/25
授業内容・到達度
週に2回あって、リスニング形式で教科書の問題を解いていく。ときどき、一人一文をその場で作り、みんなで物語を作るというようなゲームもやっていた。聞こえた単語をピンインで書くという問題が毎回出てきて、中国語を学ぶ上で大切な『ピンイン』を覚えられ、ヒアリングだけでなくボキャブラリーも上がったと思う。その問題のお陰で発音も正しく覚えられた。間違えやすい発音も先生が逃さず教えてくれるので、とても助かった。
中国語 口語 (初級一)
期間
2008/3/3-2008/6/25
授業内容・到達度
3つの授業の中で一番難しかったように思う。とても声が小さい上に、かつぜつの悪い先生だったので、とても聞き取りにくかった。これで完全にやる気をなくしてしまったクラスメートが多かった。授業は、教科書と同じような対話をクラスメートと交わす。自分からどんどん話していかないと力にならないので、アドリブを入れていくのに必死だった。あとは教科書の問題(並び替えなど)を解く。最初にも言ったとおり、『話す』よりも先生の言っていることを『聞く』のに必死だったので、どちらかと言えば『ヒアリング力』が上がったように思う。先生にもよるので、本当に運もある・・・この授業だけは残念だった。
太極拳(選択科目)
期間
2008/3/7-2008/6/20
授業内容・到達度
週に1回ある選択授業。上海ではいたるところで見かける「太極拳」を本学科の体育の先生が教えてくださる。毎週1時間だけという短い時間だったが、普段は関わらないようなアジア圏以外の国の留学生とも交流ができて良かった(普段のクラスはアジア、英語圏、その他などで分けられるから)。先生が標準語ではなく上海語だったので、聞き取りづらかったがとても楽しかった。選択授業は他にも「書道」・「映画鑑賞」などがあった。
夏期セミナー 中国語 総合・閲読・会話(中級一)
期間
2008/7/14-2008/8/22
授業内容・到達度
夏期セミナーは最長でも1か月しかないので、それなりの高いレベルで授業の進行も速かった。教材も本学期とは違って、短期間学習する生徒用の教材を使用した。授業は2つあり、閲読という授業は週2回、短い物語や文章を読んで後に出てくる問題を解いていった。週8回ある総合(会話を含む)は語法中心で、ときどき2人組になって対話を考えたり、教科書中の題材について1人ずつ考えを述べさせられる。短い期間ではあったが、会話の上達につながったと思う。この夏から参加している留学生にとっては少し厳しかったかもしれないが、本学期から引き続き夏期セミナーに参加しているわたしにとっては、とても良い流れで終えられたと思う。家でテレビを見ていて、この夏学習した単語や文法が聞こえてきて、少し内容がわかるようになったのがうれしかった。
留学を終えての感想
1学期と夏期講習を終えた今、思うのは「学校の授業だけで満足していてはいけない」ということ。留学当初は、中国語以外にもたくさんやりたいことがあったので、自分の中では語学の習得がメインではなかった。しかし実際には、自分の語学力のなさに愕然とし、ただただ必死に勉強するだけだった。もちろん語法がメインの学校の授業だけでは「使える中国語」は身につかないので、自分で現地の人と話す機会を作らなければならない。 幸い私のクラスには、同じ大学の日本語学科の先生とつながりのある日本人の方がおられて、毎週月曜日にある「日中相互学習会」という、日本語を学ぶ上海外国語大学の学生との交流会に参加しないかと声をかけていただいた。日本語学科の学生は、なかなか流暢に日本語を話すのでつい日本語を話してしまうことも多かったが、プライベートで遊んだり、メールやチャットをしたりと、「留学しても現地の学生と触れ合う機会はあるのだろうか」と不安を抱いていた私にとってはかなり良い経験になったと思う。若い人の話す中国語は比較的聞き取りやすく、こうやって現地の学生と触れ合う機会があってとてもよかったのだが、少し年配の方になると、留学生の間で「スースー弁」と呼ばれている「上海語」という方言(なまり)が強く、これには最後まで苦労した。聞き取れないだけでなく、こちらも合わせて上海なまり気味で話さなければ通じなかった。中国はこのように地方によってかなり異なるので、学校で習う「標準語」以外にも独自で学んでみるとおもしろいと思う。
そして、この留学でわたしは本当に良い”出会い”をたくさん経験できたことが何よりの収穫だと思う。クラスでは、生活・学習を常に共に過ごし、お互いに助け合って、”一生モノ”と思える絆が生まれた。仲間との別れがこの留学生活で一番辛く、最後の1か月は本当に泣いてばかりの毎日だったが、みんなもそれぞれの国で頑張っている、と思ったら、私も日本で頑張ろうと心から思えた。そしてもう1つの”出会い”が、私の今までの大学生活を見直すキッカケになった。寮の同じ階に住んでいた友達と、そのクラスメートと食事をする機会があり、その時に「ビジネススクールに興味はないか」という誘いがあった。
私はその時、マスコミ関係の仕事に就きたいという思いがあり、そのビジネススクールにも朝日新聞社やテレビ東京など、マスコミ関係の方を招いての講座が毎月開かれていた。さっそく「体験」という形で、スクールの代表の方とお話をしに行った。が、そこで自分のあまりの知識のなさに愕然とした。中国と日本の間の歴史、経済、なにより自分の意見が言えない・・・自分は大学で何をしてきたんだろうとかなりのショックを受けた。同い年や、年の近い留学生は、どんどん自分の意見を発言し、討論し合い、自分に自信を持っている。わたしはこのスクールを知ったのが遅かったため、2回しか参加できなかったのだが、自分に足りないもの、自分が今やるべきことが十分見えたと思う。
そして金銭面をはじめ、私の中国留学を全面的にサポートしてくれた家族に感謝したい。金銭面については、留学する前から「中国はいろんなものが安いよ」と言われ続けていたのだが、実際上海は今、物価が上がってきていると思うので「日本より安い!」と思って調子に乗ると、かえって日本で生活するよりもお金を使ってしまうことになる。私が中国で見たもの、感じたもの、得たもの、すべてをフルに将来につなげられるかはまだわからないし、将来への道がふりだしに戻ったこともあった。しかし、ここでの経験は決してわたしにとってマイナスではなかったので、確実に前には進んでいっていると思う。