アメリカ合衆国

サザンミシシッピ大学2006年度後期T.Kさん(男)

期間
2006/8/21-2007/3/15
所用経費(1ヶ月)
宿泊費 $350
食費 $100
図書・学用品 $10
雑費 $200
合計 $650
渡航・帰国費用
140,000円
授業料
720,000円
換算率
US$1=120円

住宅について

大学寮は2人部屋であるのが普通のためプライバシーが全く持てず、また衛生面であまりよくない事もしばしばあった。しかし現地の学生と友達になれる機会が多くあるので、人間関係は広がりやすい。アパートは生活面で少し怠惰になりがちだが、ルームメイトを見つけて部屋をシェアすればかなり安くつき、また自分の時間を自由に持てるため生活としては気楽だった。僕の場合寮では自炊が出来ず、食事面(費用、味など)がかなり苦しかったため最初の2ヶ月以降はルームメイトを見つけてアパートに移った。

医療について

アメリカの医療は保険に入っていないとかなり高くつく。なにせ救急車を呼ぶだけでもうすでに払わなくてはならないお金が発生してしまうのだ。僕の友達も一度怪我をして保険無しで病院に行っていたが、驚くような値段を請求されていた。お世話にならないように気をつけるのが一番だろうが、アメリカに行くなら旅行であっても保険は絶対入っておいた方がいいだろう。

治安・衛生について

田舎だったからか治安はかなりよかったように思う。しかし当然ドラッグをやっている学生の集落のようなアパートだとか、そういった危ない場所も人々もいた。また寮の周りでも銃を使った強盗事件が一度あり、寮内にて全住居者を対象としたオリエンテーションが行われたりもした。安全といっても銃社会、日本よりは安全ではないので時間と場所を十分に考えた上で行動、外出すべきだろう。

このページのTOPへ戻る

受講科目

Grammar Level 3,4,5
期間

2006/8/21-2006/3/11

授業内容・到達度

レベル3,4,5共に基本的には高校時代にやったもの、または受験期に学んだもののやり直しだったが、英語の文法を英語で考えるという考え方などが身についた。レベル4以降ではもう少し実践的な「使う英語」においての文法を会話の中で綺麗にまとめるような練習などをし、またアメリカ英語、イギリス英語の違いや、アメリカ国内における様々なアクセントなど、文法だけに留まらず、発音など様々なことを学んだ。また、会話の中でどの文法を使えばどのように聞こえるのかなども学んだ。

Writing Level 3,4,5
期間

2006/8/2-2007/3/11

授業内容・到達度

英語による基本的な文章の書き方、基本的なパラグラフ、論理の構成などを新TOEFLの形式に則り、学んでいき、そのため様々なトピックについて多くのエッセイを書き、採点後に自分自身でエッセイを修正していく過程により、より英文法への理解力が深まった。加えて実際ビジネスレターを書く際のマナーやレポートの書き方、文語ではあまり使えない言葉などを学んだ。Level3,4,5共に基本的な授業の形式は同じであったがレベルが上がるにつれてエッセイのテーマが難しくなっていった。

Reading Level 3,4,5
期間

2006/8/21-2007/3/11

授業内容・到達度

アメリカの時事問題など様々なトピックを教科書に則り読み進めていった。基本的なスタンスとしては家にて文章を読んで来て、授業内にて質問、またそのテーマに沿って議論を行うなどといったものであった。Level4からは速読の練習も加わり、また効果的な要約の仕方なども加わった。そのためLevel4からの宿題は、個人がそれぞれ違ったテーマのトピックにSummarizeを行い、そのテーマに沿ってクラス内で議論を行う、といった形になっていった。

Business Reading
期間

2006/8/21-2007/3/11

授業内容・到達度

基本的な授業の進め方としては、前日に皆に配られた記事について授業の始めに誰か一人がプレゼンテーションを行い、そのテーマについて授業内に議論していくといった形であった。Businessにおける様々なVocabularyや知識について学び、またアメリカのビジネスに沿った歴史的、文化的なものにも少し触れたりもした。この授業によって超基本的なところではあるが、アメリカの政治的、国際的、経済的なシステム基盤を学んだ。

Vocabulary Development
期間

2006/8/21-2006/10/13

授業内容・到達度

この授業では、簡単にまとめると基本的なVocabularyの授業に加えて少ない語彙力にていかに理解力を高めるかといった方法を学んだ。つまり上手い予測の仕方、言葉の成り立ちに伴う考え方などである。具体的には様々なPrefix、Suffixによる単語の構成などである。この授業を受けたことによって、より通じる言葉を自分で少し作れるようになり、また言い方の分からない言葉の説明などが上手く出来るようになったように思う。

Grammar For Speaking
期間

2006/10/21-2006/12/15

授業内容・到達度

この授業では文法を実際の会話の中で効果的に使うトレーニングを行いつつ授業が進められていった。しかし、正直なところこの授業はあまり役に立たなかったように感じる。何故なら基本的な用法やもうすでに知っていることが多かったからだ。

English Through Classic Movies
期間

2007/1/16-2007/3/9

授業内容・到達度

この授業ではアメリカのクラシックムービーによるリスニング練習が主であった。授業内ではまず、最初にその映画についての解説と台本が配られ、それを参考にしつつ映画を授業内で見ていくといったことを行った。見た映画は「Psycho」や「God Father」などであり、様々なアメリカ映画のクラシック作品を見ることによって、英語のリスニングだけではなく、その映画の時代背景やアメリカの根底にある文化にも理解が深まったように思える。

このページのTOPへ戻る

留学を終えての感想

今回の留学は高校時代からの念願であったという事もあり様々なことを多く学べたように思う。まず、僕の行ったミシシッピのハティスバーグというところはアメリカの中でもディープサウスと呼ばれるほどの濃い、南部の地域であったため英語のなまりもかなり強く、最初の1,2ヶ月は彼らの英語を理解するのに非常に苦労した。また南部ということでアフロアメリカンの人々がかなり多かった。彼らの英語というのもやはり独特のアクセントを持っており、これに南部なまりが加わるとさらに理解するのが難しくなるため、最初聞いた時は彼らの言語が英語ではない他の言語に聴こえた程だった。

後でアメリカの友人に聞いたところ、彼らですら他の言語に聴こえる時があるとのことだった。一番のカルチャーショックは、ここに来て「人種」というものを強く意識させられるような光景を多く見たということだ。例えば、黒人と白人で一緒にご飯を食べているところや、遊んでいるところを見ることはとても少なかったように思える。教会も白人教会、黒人教会とあり、黒人だけでの学校内での行事など、所々で人種間の壁を強く感じるような光景が多かった。同じ地域内で人種ごとにそれぞれ違った文化を持つ光景は、日本で生まれ育った僕にとってはなにかとても新鮮な経験であった。

何より一番印象的だったのはゴスペルクワイアへの参加だ。僕は楽器演奏が少し出来るので学校内にあるゴスペルクワイアに参加させてもらい、そこでゴスペルを少し演奏させてもらっていたのだが、僕はそのグループの中で唯一黒人でない人種で、これも僕に自分自身の人種について感じさせられる出来事の一つだった。普通に日本で生活をしていく上でこういった明らかな人種の違いを確認する機会はあまりないため、この経験によって人種という目に見える違いを改めて確認させられたような気がした。

留学中に一番辛かったことは何より食事の面が一番で、特に寮生活中のカフェテリアでの食事はほぼ全ての料理が油で揚げられており、基本的に胃に重い食事であったため寮生活終盤はまるで悪夢のようであった。アパートに移った後もアジアンマーケットにて日本米や味噌を買うなど、日本での食生活を再現しようと努力はしていたのだが、水一つとっても硬水と軟水の違いなどで大きく味は変わってしまい、味の面でかなり苦しい思いをした。

帰国後始めて食べた米に泣きそうになったことは強く印象深く残っている。留学前はあまり意識出来なかったが、僕らが普段日本国内で味わっている料理は、単純に材料や調味料の味だけではなく日本の気候や地質が生んだ味、つまり土地の味とも言える味を大変多く含んでいるという事に帰国後気付いた。

さて、もう一つとても印象深かった出来事はカトリーナの影響を実際に見たことだろう。ハティスバーグもまた一昨年の超大型ハリケーン「カトリーナ」の被害を受けた地域の一つである。ニューオリンズ程ではないがやはり被害は酷かったようで、僕の通っていた語学学校の教師の中にもカトリーナに家を破壊されたまま、まだその自宅に戻れずに仮設住宅で生活している人がいた。カトリーナの影響か、留学生も近年は減少しているようだった。また被害の一番大きかったニューオリンズ近くでは多くの仮設住宅のような車も沢山あった。その当時の話を実際に聞き、壊れた家や倒れた木を見た時はとてもいたたまれないと言うか、恐ろしいと言うか、なんとも形容しがたい気分になった。比べる物事ではないが、あの規模での被害が日本で起きるのを想像すると、本当に悪夢のようだったのだろうと思った。

留学をすると、自国に対する様々な見方が変わったり、自分の知識のなさに不甲斐なさを覚えたりする、というのは良く聞く話ではあるが、やはり僕もそういったことを多く感じた。日本人のアイデンティティーの喪失傾向やナショナリティーについても多く考えさせられた。またミシシッピがレッドステイツであり、敬虔なキリスト教信者(特にバプティスト)や、僕にその友達が多く居たことから、特に宗教に対する見方や姿勢などががらりと変わったように感じる。

それ以外にも多々あるが留学を終えた今、一番良かったと思えることは、日本についての理解や興味が深まった事に他ならない。この感想に書いてきたように、やはり国を出ないと分からないことは非常に多かった。今回の留学にて学んだことがこれから僕の人生にどのように活きていくのかはわからないし、僕がどのように活かしていきたいかもまだ決めていないが、この経験が悪く働くことはないだろうと確信している。

このページのTOPへ戻る