担当者 三谷 真澄
テーマ アジアの人間交流と仏教
講義概要
(演習Ⅰ~Ⅳ)
この演習は、「世界と日本」コース所属生のための演習(ゼミ)です。
本年2020年は、2039年に創立400周年を迎える龍谷大学の新たなスタートの年です。今、コロナ禍の中、いよいよ人間の本質が問われていると思います。本学の伝統と存立の基盤は仏教であり、担当者も必修科目「仏教の思想A/B」の講義を通して、人間学としての仏教を伝えています。しかし、本ゼミは、仏教にそれほど関心がなくても、広く観光や、日本文化に関心のある人なら参加することができます。きっとどこかで仏教は通じています。
仏教は、インドに生まれ、地理的にも歴史的にもアジア全体に広く影響力をもちつづけています。アジアの「基層文化」の一つと言って良いでしょう。仏教は、他地域に伝播するに当たって、固有の文化や思想を否定せず、異文化の地に伝えられ、根付いていきました。そこには、多文化が争うことなく共生している姿があり、たくましく生き抜く人々の信仰があります。その原動力を探っていきたいと思います。
日本に目を向けると、「五十音図」や「いろはうた」、そして「カタカナ」も仏教に関係していますし、「人間」「世界」「平等」「我慢」「玄関」「挨拶」「縁起」など意外なところで仏教起源の言葉が使われています。また「もったいない」「おかげさま」など、西欧語に翻訳できない言葉とも深いかかわりがあります。観光の起源も、仏教などの宗教に求めることも可能です。
この演習は、アジア地域に暮らす人々にとって重要な役割を担ってきた仏教を中心として、日本文化の深層や「いのち」をめぐる問題について考えます。
一方、20世紀初めに日本唯一の中央アジア探検を果たした大谷探検隊など、龍谷大学ならではの研究成果や、仏教総合博物館「龍谷ミュージアム」見学、古都京都・奈良をめぐる「学外ゼミ」等を通して仏教文化の生の資料に触れる機会を作りたいと考えています。
ゼミの最終目標は、卒業研究を完成させ、「卒業論文」を執筆することです。高い目標を設定して、充実感・満足感をもって学生生活を締めくくりましょう。
到達目標 【演習Ⅰ〜Ⅳ】は、個別に単位認定されます。以下に概要を示しますが、詳細は、担当教員に尋ねるか、年度初めにWEB上に掲載される各シラバスを参照して下さい。
【演習Ⅰ/Ⅱ】
  • 世界と日本の文化的なつながりや相互関係に関して理解を深めるようになる。
  • 仏教の基本的思惟方法が理解できるようになる。
  • グループ学習や個人研究を通して、研究課題の探究ができようになる。
  • 研究課題の探究と研究テーマの発見に向け、適切な方法で資料収集をおこなうことができる。
  • 研究レポート提出のための途中経過報告を決められた書式や方法で口頭発表することができる。
【演習Ⅲ/Ⅳ】
  • 自己の研究テーマの決定と個別テーマに沿った卒業研究を的確におこなうことができる。
  • 卒業論文提出に向けた先行研究に関する資料収集を適切な方法でおこなうことができる。
  • 卒業研究を完成し、自己の研究テーマについて一定の方法論と知識を獲得することができる。
講義方法 演習は、大学生活の集大成である「卒業論文」の作成と密接に関わっています。「自分は大学でこれを勉強した」という達成感がその後の人生の糧となることは間違いありません。少し高い目標を設定して頑張るところに自然に仲間や情報が集まってきます。
最初は、当方からの話題提供をもとにした討議形式で行いますが、徐々に個別の研究発表に移行し、最終的には自分で設定した研究テーマの発表を行いたいと考えています。
また、学外ゼミを前後期に行う予定です。京都や奈良の著名寺院はじめ、周辺博物館等にも足を運び、希望によりアジア各地の文化に触れる機会を作りたいと考えています。
成績評価の方法 【演習Ⅰ〜Ⅳ】は、個別に単位認定されます。詳細は、担当教員に尋ねるか、年度初めにWEB上に掲載される各シラバスを参照して下さい。
平常点(30%)、口頭発表(30%)、レポートその他提出物等(40%) を目安として総合評価します。
系統的履修 「仏教の思想A/B」「世界と日本入門」「アジアの仏教文化」「中央アジアと日本」「卒業論文」
テキスト 特に指定しない。
参考文献
  • 三谷真澄編『大谷光瑞の構想と居住空間』(龍谷大学アジア仏教文化研究叢書 14) (法藏館,2020)
  • 三谷真澄編『「世界」へのまなざし〜最古の世界地図から南方熊楠・大谷光瑞へ』(龍谷大学アジア仏教文化研究センター文化講演会シリーズ2)(法蔵館,2017)
  • 松原広志・須藤護・佐野東生編『文化交流のエリアスタディーズ―日本につながる文化の道』(ミネルヴァ書房,2011)
  • 龍谷大学龍谷ミュージアム編『釈尊と親鸞―インドから日本への軌跡』(法蔵館,2011)
  • 能仁正顕編『西域―流沙に響く仏教の調べ』(龍谷大学仏教学叢書2)(自照社,2011)
  • 上山大峻『仏教を読む―釈尊のさとり親鸞のおしえ』(本願寺出版社,1996)
その他、ゼミ生の興味・関心に応じて個別に指示します。
履修上の注意・担当者からの一言 演習は、教員からの連絡だけでなく、学科、学部、大学から皆さんへの情報提供の場でもありますので、欠席しないようにしてください。
好奇心のある人、日本文化に関心のある人、お寺巡りの好きな人、仏像の好きな人、言葉の由来や文字の好きな人、龍大で学んだ証(あかし)が欲しい人。どれか一つでも当てはまれば大丈夫です。