担当者 友永 雄吾
テーマ 世界と日本における多文化・多民族共生に関する社会・文化人類学探求
講義概要
(演習Ⅰ~Ⅳ)
この演習は、「世界と日本」コース所属生のための演習(ゼミ)です。
人類学は、形質人類学にはじまり、文化・社会人類学、環境人類学、公共人類学など、個別テーマを扱う分野から、課題解決型の応用性の高い分野にまで、じつに幅の広い学問です。この演習では、社会・文化人類学に注目し、世界的テーマ(例、先住民族と開発、環境保護運動、観光産業と文化の商品化、近代知と伝統知の融合と乖離、日豪の多文化・多民族共生など)について探求します。受講生がもつ興味・関心からテーマを絞り、さまざまな研究方法を獲得しながら、実証研究をおこなうことが受講生には求められます。実証研究には、人類学分野の基本理論を学び、日本語と英語の二次資料の読解、分析に加え、フィールドワークやインタビューにもとづく一次資料の収集・記述・分析が求められます。
到達目標 【演習Ⅰ〜Ⅳ】は、個別に単位認定されます。以下に概要を示しますが、詳細は、担当教員に尋ねるか、年度初めにWEB上に掲載される各シラバスを参照して下さい。
【演習Ⅰ~Ⅱ】
  • 学術誌に掲載されている論文を批判的に読み解くことができる(日本語論文のみでなく、英語論文の批判的な読解も求めます)。
  • 一定の地域や集団さらには個人を対象とするフィールドワークを企画・立案し、実際にデータ収集・分析をおこない、卒業論文作成のための基礎的、実践的な知識を獲得することができる。
【演習Ⅲ~Ⅳ】
  • 自己の研究テーマの決定と個別テーマに沿った卒業研究を的確におこなうことができる。
  • 卒業論文提出に向けた先行研究に関する資料収集を適切な方法でおこなうことができる。
  • 卒業研究を完成し、自己の研究テーマについて一定の方法論と知識を獲得することができる。
講義方法 授業は、講義形式を中心とせず、学生とのディスカッション、学生による発表、さらに学外でのフィールドワーク(例えば、龍谷ミュージアム、国立民族学博物館や京都大学総合博物館、京都府下のマツタケ山と周辺の温泉めぐり、近畿圏内の被差別部落コミュニティやコリア・タウン、さらには夏に予定するオーストラリア南東部の先住民コミュニティなど)を中心とします。演習Ⅰの前半では、日本および国際的な学術誌に掲載されている論文を批判的に読み解くための力を涵養します。後半では、一定の地域や集団さらには個人を対象とするフィールドワークを企画・立案し、実際にデータ収集・分析をおこない、論文作成のための基礎的、実践的な知識を獲得します。その後の演習Ⅱ、Ⅲ、Ⅳでは、受講生が中心に各人のテーマに関するデータ収集・分析、発表、討議を経て卒業論文の完成に至ります。
成績評価の方法 【演習Ⅰ〜Ⅳ】は、個別に単位認定されます。以下に概要を示しますが、詳細は、担当教員に尋ねるか、年度初めにWEB上に掲載される各シラバスを参照して下さい。
平常点:50点(文献やフィールドワークの調査結果の発表とゼミでのディスカッションへの参加、進捗状況と振り返りのためのポートフォリオ作成)。
レポート:50点(前後期期末レポート)。
欠席が一定回数を超えた場合は評価の対象外となります。
系統的履修 担当者が担当する科目(人類学関連の科目、オセアニア関連の科目、観光関連の科目など)やその他環境関連やフィールドワーク実習関連の科目を履修した、または履修予定の学生が望ましいです。
テキスト 友永雄吾 2019『スタディツアーの理論と実践:オーストラリア先住民との対話から学ぶフォーラム型ツアー』明石書店(ISBN-10: 4750348031)
その他必要なテキストや資料は適宜、伝えます。
参考文献 Eriksen, Thomas Hylland (2006) What is Anthropolgy? Pluto press.
Pountney, Laura & Maric, Tomislav (2015) Introducing Anthropology Polity press.
Townsend, Patoricia K. (2000) Environmental Anthropology- from pigs to policies Waveland press.
友永雄吾 2013『オーストラリア先住民の土地権と環境管理』世界人権問題叢書84明石書店
印東道子・白川千尋・関雄二編 フィールドワーク選書1-20
尚、各受講生にテーマに関連する文献を適宜、伝えます。
履修上の注意・担当者からの一言 人類学とくに先住民族やマイノリティの問題、世界と日本の環境問題などに興味を持ち、将来、教師や国内外の人権や開発分野、観光関連分野などで活躍したいと望む人の履修を歓迎します。ただしこれらは必須の要素もしくは履修の条件ではありません。
授業時間以外でもゼミ生が自主的に集まる時間や、フィールドワークへの積極的な参加もしくは自主的にフィールドワークを企画、実施することが求められます。そうした制約を乗り越える熱意と努力があればだれでも大歓迎です。