担当者 瀧口 順也
テーマ 歴史的アプローチからの現代世界の考察 -冷戦史とグローバリゼーション-
(G + E)
講義概要
(演習Ⅰ~Ⅳ)
現代のグローバリゼーションを考察する際に、その急速な発展を促した出来事として「冷戦の終焉」(と「ソ連の解体」)が指摘されることは少なくない。では、その冷戦の時代はどのような国際的・政治的・経済的・社会的状況にあったのだろうか、また、なぜその終結がグローバリゼーションを拡大するに至ったと考えられるのだろうか。そして、グローバリゼーションの時代と呼ばれる現代は、どのような意味で冷戦の時代が抱えていたさまざまな問題を引き継いでいるのだろうか。
このゼミは、新しいアプローチによる再検討が積極的に進められている「冷戦史」を、現代の地域社会および国際社会と関連させて考察することで、グローバル化のなかで生じる諸問題を現代史の視点から再検討することを目的とする。

演習Ⅰでは、冷戦史に関する入門文献の講読を行い、基本的な知識の獲得と問題意識の涵養を目指す。
演習Ⅱでは、冷戦史に関する専門的な学術論文を扱い、最先端の研究に関する知見を養う。またその過程において、各ゼミ生の興味・関心に沿った個別の問題意識を高めることで、各自が取り組む事例研究の課題を設定する。
演習Ⅲ~Ⅳでは、各ゼミ生・各グループが設定した問題に関するプレゼンテーションを中心に、ゼミ生全員でのディスカッションを行う。最終的には、質の高い卒業論文/ゼミ論文の完成を目指す。
到達目標
  • 1. グローバルな視野からの現代史の考察により、現在のグローバリゼーションの歴史的経緯に対する洞察を深める。
  • 2. 歴史学関連の専門文献を批判的に読むことができるようになる。
  • 3.幅広い時代背景に対する知識をもとにして、各自で設定した具体的な「問い」に対して論理的に議論を展開できるようになる。
講義方法 リーディングをもとにしたディスカッションが中心。
インプットとアウトプットをバランスよく行う
個人での発表・レポート作成のみならず、グループで課題に取り組む機会も設ける。
成績評価の方法 レポート課題、プレゼンテーション課題(個人・グループ)、ディスカッションへの参加などで評価を算出する。
系統的履修 歴史学関連の科目(『グローバル・ヒストリー入門』『ナショナリズム研究』など)、地域研究系科目、国際政治学系科目を履修していることが望ましい。演習Ⅰの開始時に未履修の場合は、3年次での履修が強く推奨される。
テキスト 〔演習Ⅰ〕Robert J. McMahon , The Cold War: A Very Short Introduction, OUP, 2003
参考文献 〔演習Ⅱ〕以降は、以下の文献(の一部)を利用する予定。
The Cambridge History of the Cold War (3 vols.), CUP, 2012
Odd Arne Westad, The Global Cold War: Third World Interventions and the Making of Our Times, CUP, 2005
益田 実(ほか)(編)『冷戦史を問いなおす ― 「冷戦」と「非冷戦」の境界』 ミネルヴァ書房、2015年
Journal of Cold War Studies, Cold War History らに掲載されている学術論文も利用する。その他の参考文献については、適宜指示する。
履修上の注意・担当者からの一言
  • 歴史にアレルギーがある人も、歴史の授業が好きだった・好きな人も歓迎する。積極的に参加し、知的好奇心を刺激したい学生を望んでいる。
  • 各ゼミ生の興味・関心にもとづいた事例研究の対象に沿って、英語以外の外国語学習を始める契機となって欲しい。