- 教員氏名
- 早島 慧(Hayashima Satoshi)准教授
- 専門分野
- 仏教文献学
- 所属学科
- 国際文化学科

インドの仏教を研究しています。なかでもインドの古い言語であるサンスクリット語で書かれた哲学的な書物の研究が専門です。特に、中観派(ちゅうがんは)・瑜伽行派(ゆがぎょうは)というグループの書物を解読しています。
仏教の有名な言葉に「色即是空(しきそくぜくう)」という言葉がありますが、彼らはこの言葉に出てくる「空」の思想を説いたグループです。サンスクリット語を読むことを通じて、彼らの空の思想を研究しています。
「ドーナツの穴はあるのか、ないのか」と問われると答えに困ってしまいます。穴ですから「ない」のかもしれませんが、穴が「ある」からこそドーナツとも言えます。同じように「空」という言葉は単なる「何もないこと」を意味するのではありません。中観派・瑜伽行派の人たちは空を「あるのでもないし、ないのでもない」、「ないことがある」等と思索するのです。そして、彼らは「この世界のすべては空である」と主張します。世界がドーナツの穴のようであるという、不思議な主張を通じて、世界とは何か、人間とは何かという問題に迫っていくことが、この研究の魅力です。
年に数回、博物館や寺社仏閣で現地実習を行なっています。学生自身が日本の文化を紹介するための実習先を検討し、その実習先について学びを深めます。
また、文学部の学生さんとの合同の現地実習も行っており、実習先で僧侶の方、研究者の方に案内してもらい、専門的に実習先のことについて学びます。
卒業研究については、宗教を通じた日本と世界の文化のつながりをテーマに、各自で自由に行ってもらいます。過去の卒業研究としては、仏教・宗教の研究以外にも、観光や日本文化に関する研究がありました。
鳥山明氏による漫画『ドラゴンボール』のモチーフになった物語が、『西遊記』です。ただ、『西遊記』にはさらに元になった書物が存在します。それが7世紀に中国からインドに渡った僧侶、玄奘による旅行記『大唐西域記』です。玄奘は、私が研究している瑜伽行派の思想を学ぶためにインドに渡り、その学んだ教えが現在でも京都の清水寺や奈良の法隆寺に伝えられています。
そういう意味では、瑜伽行派の人々がいなければ、『ドラゴンボール』も『西遊記』も清水寺や法隆寺も、今のような形ではなかった、あるいは存在しなかったかもしれません。
私たちの身近にあるものは、一見無関係に思える様々なものと、歴史的に世界的に繋がって存在しています。「繋がっているもの」として世界を捉えると、新たな世界が広がると思っています。皆さんが、国際学部で新たな世界と出会えることを楽しみにしています。