- 教員氏名
- 清水 耕介(Shimizu Kosuke) 教授
- 専門分野
- 国際関係学/政治思想/ポストコロニアリズム/ジェンダー/仏教と戦争
- 所属学科
- グローバルスタディーズ学科
学部および大学院修士課程ではマクロ経済学理論を学びました。大学院博士課程で国際関係学理論を学び、現在ではポストコロニアリズムを主として研究しています。国際関係学は、もともとは平和を約束した国際連盟がなぜたった20年で失敗したのか、なぜ第二次大戦は始まってしまったのか、という問題に答える学問として登場しました。ここではヒットラーに代表されるような「悪い人々」の登場が戦争の原因であったのではなく、国際政治経済的な構造的変化が戦争の原因となったこと、なのでヒットラーがいなかったとしても同じような「悪人」が登場したであろうことが主張されました。このように構造的な視点から世界を考えることは、同時に私たち自身がいつ「悪人」になるかわからないことを意味しています。その意味で私自身の生き方にも大きな影響を受けました。ポストコロニアリズムは世界各地に広がる格差が帝国主義時代の遺物であることを指摘しますが、これも同様で南北格差もまた構造的な問題として捉えることが可能です。そしてそこでは私たちの「文明的」な生き方それ自身が南北格差を生み出していることがポストコロニアリズムを学ぶことで明らかとなります。つまり私たちは南北問題を学んでいろんな人を助けようとしている善良な人々ではなく、もしかしたら南北格差を生み出している張本人かも知れないわけです。こうしたことを学ぶことは私たちの生き方に大きな影響を与えます。もし私たちが戦争や南北格差を生み出している張本人だとしたら、私たちはどのように生きるべきなのか、私たちにできることとは何なのか、私たちが学ぶべき倫理とはどのようなものなのか。最近はこうした事を、戦前の哲学者の集団だった京都学派の哲学や龍谷大学が得意とする仏教の教えなどを学びながら日々考えています。興味のある方は'The Kyoto School and Internaitonal Relations を読んだり、E-international Relaionsのポッドキャストを聞いたりしてみてください。
基本的にゼミ生にははさまざまなことを経験して欲しいと思っています。3回生では主として戦争の跡を巡ります。沖縄戦についてのフィールドワークが主となりますが、広島や長崎に行くこともあります。4回生ではゼミ生が自主的に選んだ場所に行くことにしています。これまで行ったのは、アウシュビッツ(ポーランド)、カンボジア、ドイツ、オランダ、韓国、中国、台湾、広島、長崎などです。これまで一番多かったのはアウシュビッツですが、今後は卒業生が住んでいるカンボジアが多くなると思います。それ以外の活動では定期的に食事会を開催したり、大学の施設で合宿したりしています。
学生の皆さんにはできるだけ多くの経験をし、さまざまな事を学ぶことによって最終的には優しい人になって欲しいと思っています。アントニオ・グラムシというイタリアの哲学者の言葉に「知の悲観主義、意志の楽観主義」というものがあります。同様にイギリスの経済学者アルフレッド・マーシャルは「冷静な頭脳と暖かい心」という言葉を残しました。国際学部の皆さんにはそういう言葉を体現するような人になって欲しいと思っています。