

▼解決を目指す「社会課題」

大浦 千紘さん
国際文化学科 3年生(大阪府立今宮高等学校 出身)
久松 英二教授
国際文化学科
[専門分野]神学/宗教学(東方キリスト教神秘思想、比較宗教思想)
イタリアでは、古代ローマ、キリスト教中世、ルネサンス、現代文化が地層のように重なり合っています。イタリア文化研修では、ミラノやヴェネツィア、フィレンツェ、ローマといった主要都市をめぐり、文化の変遷を体感します。この研修は単なる観光ではありません。都市ごとに異なる建築、絵画、宗教施設を訪ね、ヨーロッパ文明の根幹をなす精神的・美的な伝統を肌で感じとることが目的です。授業と自主的な調査で事前に文化情報を収集し、体験から得る学びをレポートにまとめて完結します。現地では、圧倒的な存在感を放つバロック建築やルネサンス期の人文主義的な絵画など、教科書で学んだ知識としての歴史を、実体験としてとらえ直します。時代を超えて受け継がれてきた文化の連続性と根底にある人々の価値観にふれることで、表層的な異文化理解を超えた深い洞察力と、多文化共生の視点が養われます。
グローバル化により文化の均質化が進む現代において、地域固有の文化や宗教的伝統への理解と尊重は、国際社会共生の基盤であり、文化遺産保全と観光の両立は世界的な社会課題となっています。この課題解決の鍵は、観光客として文化を消費することではなく、その土台である歴史や信仰を理解し、尊重する主体の育成にあると考えます。学生には、現地で文化の成り立ちを学び、宗教や芸術の背景にある人々の価値観を理解してもらいます。多様な文化のあり方にふれ、文化遺産の継承と観光活用の両立という現代的な課題を感じてもらいます。「見る」から始まり「考え・感じ・伝える」という学びの全過程をとおして、視野が世界へ広がっていくのを実感できるでしょう。現地で感じとる景色は、持続可能な文化交流のあり方を考える契機となり、他者を尊重する姿勢、多文化社会で主体的に行動する力につながります。
幼い頃から絵画が好きで、美術や芸術を深く学びたいと考えていました。複数のプログラムのなかからイタリア文化研修を選んだのは、ルネサンスの中心地を訪ね、本物を自分の目で確かめたかったからです。教科書で何度も見てきた作品ではあるものの、現地で実物を目にした瞬間の衝撃は、想像を遥かに超えていました。レオナルド・ダ・ヴィンチの《最後の晩餐》《受胎告知》、ミケランジェロの《ピエタ》《最後の審判》、ボッティチェリの《春》《ヴィーナスの誕生》、どれもただ素晴らしく、教科書では気づけなかった質感や立体感、空間の広がりや繊細な描写まで、感じとることができました。細部にまで宿る画家の魂や、作品が置かれた場の空気を体感し、知識でしかなかった芸術が、五感をとおしたリアルな「体験」へと昇華された気がします。本物にふれる重要性を、身をもって知ることができました。
もっとも心に残っているのは、中世イタリアの面影をそのまま残しているアッシジという小さな街です。観光地の喧騒とは無縁の落ち着いた雰囲気と聖フランチェスコ聖堂を中心とした街全体の静けさが印象的で、特に神父さまに修道院を案内していただいた時間は、文化や宗教が暮らしにどう根づいているかを肌で感じる貴重な経験でした。ヴェネツィアで見た夕陽の美しさも忘れられません。いつか沈むといわれているあの街で、尊敬する先生、大切な友人たちと眺めた夕陽は、ただの風景ではなく、時間の尊さと出会いの奇跡を感じさせてくれました。人々の息づかいや時の流れを体感するなかで、文化や芸術を心で感じとる大切さに気づき、自国や他国の文化をより広い視点でとらえられるようになったと思います。イタリアで体得した「文化の面白さと奥深さ」を周囲に伝えられるよう、これからも学び続けます。
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▼解決を目指す「社会課題」

藤本 将太さん
国際文化学科 4年生( 三重県立木本高等学校※ 出身)
※現:三重県立熊野青藍高等学校木本校舎
大学で出会ったフランス語が、私の世界を大きく広げました。高校までの英語学修とは違い、ネイティブの先生の発音を真似る「音」を重視した学びが楽しく、相手にことばが伝わる喜びに夢中になりました。龍谷大学からの派遣人数が一人であったフランス・リールカトリック大学を留学先に選んだのは、「一人で立ち向かう」という覚悟があったからです。強い覚悟をもって臨んだものの現実は厳しく、現地の授業では、間違いを恐れず発言する学生たちを前に、気後れしてしまいました。授業についていくのに必死で、当初は先生に個別で質問に行ったり、友人とノートを見せ合ったりと、試行錯誤の連続でした。そんな私の転機となったのは、現地の先生の「完璧な正解よりも、伝えようとする姿勢が大事」ということばです。間違いや訛りを気にせず、自分の意見を伝えようと努力する学生に囲まれた環境が、「間違いが恐い」という気持ちを少しずつ溶かしてくれました。
フランスでの生活は、新しい発見の連続でした。服装や髪型、肌の色、宗教的背景が異なる人々が日常の中で自然に共存しており、それぞれが周囲の視線を気にすることなく、自分らしく生活している様子が印象的でした。そうした環境の中で、周囲の視線を過度に意識する必要がないと感じるようになり、人の目を気にしすぎていた過去の自分から、少しずつ解放されていきました。公共の場での挨拶を欠かさないフランス文化にも大きな影響を受け、帰国してからもその文化を踏襲しています。また、文化の異なる友人との対話を通じて、意見が衝突しても感情的にならず、相手を尊重しながら深く議論する力も身につきました。「相手の背景を理解し、多様な価値観を柔軟に受け入れる力」は、ホテル業界で働くという夢にも直結しています。この経験はお客さま一人ひとりの異なるニーズに応え、最高のサービスを提供するうえで、必ず役立つに違いありません。
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室井 宏太さん
国際文化学科 4年生(滋賀県 滋賀学園高等学校 出身)
高校時代のニュージーランド留学が、私の学びの原点です。言葉も文化も異なる環境で、現地の生活習慣や価値観の違いを知り、強く惹かれました。特に印象的だったのは、英語が話せずルールも知らない私を、ホストブラザーが「一緒にやろう」とタッチラグビーの仲間に受け入れてくれたことです。「異質なものを排除しない」文化的な寛容さに触れ、その一部として認められた喜びは忘れられません。この体験から、文化や言語の違いを超えて人が共に生きる社会のあり方に関心をもち、多文化共生を文化人類学的な視点から探究できる友永ゼミを選びました。現在は、地元である滋賀県彦根市を中心に、外国にルーツをもつ生徒がいじめなどの課題にどう直面しているかを調査し、ニュージーランドの教育と比較しながら解決策を模索しています。
ゼミ活動のなかで特に印象深いのは、沖縄でのフィールドワークです。伝統的な刺青「針突(ハジチ)」を調査するため、アポイント取りからインタビュー、論文執筆までのすべてを学生主体で行いました。緊張と戸惑いからスタートした調査も、試行錯誤を重ねるうちに自信が生まれ、文献を読み込んで論理的に文章を構成する方法や、現場のリアルな声から真実を導き出す手法が身につきました。来年から教員として教育現場に立ちます。ゼミで培った「背景の異なる他者を理解し、尊重する姿勢」や「課題を多角的に分析する力」は、生徒一人ひとりが安心して過ごせる学級づくりやいじめ防止に必ず活かせると思います。教科書では理解しきれない「生きた学び」を得られること、共に成長できる仲間に出会えることが、このゼミ最大の魅力です。